8月27日(土)・8月28日(日)、山形市中央公民館ホールにて 第22回 山形県ジュニアピアノコンクール本選が行われました。

本選審査結果及び、審査員長による全体講評を掲載しておりますので、ご覧ください。

ご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。

※ 賞状、講評用紙は後日郵送、又は担当講師よりお渡しさせていただきます。

全体講評(審査員長 中野孝紀先生)

 昨年同様に今年もコロナ禍でのコンクール開催となりましたが、8月27、28日の二日間に渡り本選会が無事に終了しました。

 本選でもコロナによる影響でやむなく欠場された方もいらっしゃいましたが、基礎A、B部門から初級、中級、上級A、B部門まで総勢165名の演奏をじっくりと聴かせて頂きました。

 喜ばしいのは、昨年から始まった基礎A、B部門では今年も多くの参加者がいて、結果的に初級A、B部門まで波及効果としてレベルの向上がみられたことです。やはり幼少期からコンクール等に参加してホールで大きなグランドピアノを弾くことは、記憶に残る貴重な経験としてこれからのピアノと音楽の勉強に生きてくると思います。反面、中級から上級に進むにつれて参加者が減っていくのは少し残念な気持ちにもなりました。これからが本当の意味でピアノが楽しくなる時期だと思うのですが、学校での活動や受験でやめてしまう人も多いのでしょう。中学、高校生になっても中級そして上級B部門まで出場を目指してピアノを弾き続けてほしいなと思いました。

 さて本選出場者の演奏は総じて立派なものでしたが、部門ごとの印象や課題を簡単にまとめたいと思います。

 まだピアノを習い始めて間もない基礎A、B部門では、ピアノにタッチすることでどんな音が出るかいろいろ試しながらメロディーを弾くことを楽しみ、そして拍子を数えることをまず覚えましょう。初級A部門まではタッチの不揃いや左右別々な動きが多少ぎこちなくてもよいのですが、2拍子や3拍子といった拍感をもって弾くことを心がけましょう。初級B部門になるとタッチや音がしっかりしてきた印象ですが、何気なく弾き始めてしまう人も見受けられました。拍感をもつことは弾き始めのタイミングをとるのに大事な要素となります。さらにメロディーの表情や伴奏とのバランスにもだんだん耳を傾けてほしいと思います。

 さて主に中級からのバッハ課題については、ピアノを学ぶ人にとっては避けて通れない教科書のようなものです。しかも他の曲では学べない内容が盛り沢山なので、普段からバッハを勉強することをお勧めします。左右ともレガートでなめらかに弾くことやテーマのかけ合いでバランスをとること、強さだけではなく音の動きに抑揚を自然につけることを心がけてください。他の曲でもピアノでメロディーをなめらかに美しく弾くためにはスラーやレガートで弾くことが欠かせません。弾くと同時に自分の音をよく聴いて、なめらかに繋がっているか、音がガタガタしていないかコントロールすることが大切です。決して速く弾けることがコンクールの目的ではありません。それぞれ自分のテンポで表情豊かに抑揚に富んだ表現を探ってほしいと思います。

 そして上級部門では、ピアノのテクニックは常に音楽的な表現と結びついていることを理解し、自分の歌い方や表現意欲を全身でめいっぱい表現しましょう。もちろんソナタなど形式的に表現の制約があるとしても、皆さんの感じた音楽を聴かせてほしいのです。

 コンクールは結果発表を以って一区切りですが、よい結果を得られた人もそうでない人も、また新たな曲とともにピアノをぜひ楽しみながら弾き続けていってください。本選での皆さんの演奏について、個々の美点や問題点など講評用紙に書かれていますので参考にしてください。

本日聴かせて頂いた皆さんの立派な演奏に心からの拍手を送ります。どうもありがとうございました。

山形県ジュニアピアノコンクール 審査員長 中野孝紀

第22回 山形県ジュニアピアノコンクール本選

日時:2022年8月27日(土),8月28日(日)

場所:山形市中央公民館ホール(アズ七日町6階)

審査員長:中野孝紀先生(ピアニスト・東京学芸大学教授)

審査員:植木由利子先生(ピアニスト・宮城学院女子大学音楽科講師)

審査員:渋谷るり子先生(ピアニスト・東京福祉大学教授)